この記事は、Minitab Blog の How to Improve Cpk [Michelle Paret 25 September, 2015] の抄訳です。
あなたは工程能力分析を行い、Cpkの値が悪い結果になりました。そんな時、どうしますか?
まず、「悪い」とはどんな状態でしょうか。簡単に言ってしまうと、Cpkが小さければ小さいほど欠陥数は多く、悪い状態です。一方、Cpkが大きければ大きいほど良いです。多くの実務家は、一般的な基準としてCpk=1.33を用います。よって、ここでもそれを基準として扱いましょう。
ここで、我々があるデータを収集し、Minitabを使って工程能力分析を行ったとします。その結果、Cpk=0.35という結果になりました。これは、DPMO(100万機会あたりの欠陥数)が140,000より高いことを意味します。これは良くないですね。では、どのように改善しますか?
これには2つの解決方法があります。
【#1 グラフによる確認】
Example1:直径1(Diameter1)のCpk=0.35は基準の1.33よりもずっと低い値です。これは、規格外の製品が多く発生していることを意味します。

グラフ(青いヒストグラム)を利用することで、このデータが赤い点線で示した規格限界(USL=上側規格、LSL=下側規格)に対して中心化されていないことがわかります。 しかし、幸運にもばらつきの大きさは問題ありません。ヒストグラムと正規分布の理論分布曲線が規格限界内にフィットしています。
Q. どのようにCpkを改善しますか?
A. ばらつきを増加させることなく、規格限界の中心である100に近い平均が出るように工程を中心化させます。
Example2:直径2(Diameter2)のCpk=0.41です。幸運にも規格限界に関して、データは中心化されています。しかし、ヒストグラムと理論分布曲線は規格を大幅に超えています。

グラフ(青いヒストグラム)を利用することで、このデータが赤い点線で示した規格限界に対して中心化されていないことがわかります。 しかし、幸運にもばらつきの大きさは問題ありません。ヒストグラムと正規分布の理論分布曲線が規格限界内にフィットしています。
Q. どのようにCpkを改善しますか?
A. 同じ平均値を保ちつつ、ばらつきを減らします。
Example3:直径3(Diameter3)に関して、データは中心化されていません。さらに悪いことに、ヒストグラムと理論分布曲線は規格を超えています。これは、かなりばらつきが大きいことを示しています。

グラフ(青いヒストグラム)を利用することで、このデータが赤い点線で示した規格限界に対して中心化されていないことがわかります。 しかし、幸運にもばらつきの大きさは問題ありません。ヒストグラムと正規分布の理論分布曲線が規格限界内にフィットしています。
Q. どのようにCpkを改善しますか?
A. 平均値が100に近づくようにシフトさせつつ、ばらつきを減らします。
【#2 CpとCpkの比較】
CpとCpkは、値が小さければ小さいほどその工程が悪いことを意味するという点で似ており、我々は一般的な基準1.33を使用することができます。しかし、2つの統計量とその計算式は異なります。Cpは許容幅とデータの広がりのみを比較しており、その工程が規格限界内で中心化されているかどうかを考慮していません。
言い換えると、Cpは「あなたの車はガレージに入るだろうか?」という問いに似ています。データが車、ガレージの壁が規格限界を表しています。ここで我々は、あなたが悪質なドライバーでまっすぐ中心に車を止められるかどうかを考慮しているわけではなく、あなたの車が物理的にガレージ内に収まる幅であるかをみています。

Example1:直径1(Diameter1)のCp=1.64、非常に良い値です。Cpは良いので、工程のばらつきが許容内であることがわかります。(車はガレージに収まります)しかし、その工程が中心化されているかどうかを考慮するためのCpkは0.35しかなく、ひどい値です。
Q. どのようにCpkを改善しますか?
A. ばらつきを増加させることなく、規格限界の中心に平均をシフトさせます。
Example2:直径2(Diameter2)のCp=0.43,Cpk=0.41です。Cpは悪いので、ばらつきが大きすぎます。(車はガレージに収まりません) そして、CpとCpkは近い値なので、その工程はまずまず中心化されています。
Q. どのようにCpkを改善しますか?
A. 同じ平均値を保ちつつ、ばらつきを減らします。
Example3:直径3(Diameter3)のCp=0.43,Cpk=-0.23です。Cpは悪いので、ばらつきが大きすぎます。 そして、CpとCpkは近い値ではないので、その工程は中心化されていません。
Q. どのようにCpkを改善しますか?
A. 平均値中心にシフトさせつつ、ばらつきを減らします。
【3つ目の方法について】
あなたは、工程能力分析のグラフを見ようが、CpとCpkで比較しようが、「その結果をどのように改善するか」について同じ結論にたどり着くでしょう。そして、もしあなたがそのためにまだ別の方法を探しているのなら、平均値や標準偏差に着目すると良いでしょう。しかし今回は、数式を使わない上記1、2を説明しました。
要約
グラフ | Cp vs. Cpk | どのようにCpkを改善するか? | |
---|---|---|---|
Example1 | ヒストグラムは中心化されていないが、 規格に収まっている |
Cp:良 Cpk:悪 | 工程を中心化させる |
Example2 | ヒストグラムは中心化されているが、 規格に収まっていない |
Cp:悪 Cpk:悪 ※2つの値が近い |
ばらつきを減少させる |
Example3 | ヒストグラムは中心化されておらず、 規格にも収まっていない |
Cp:悪 Cpk:悪 ※2つの値が遠い |
工程を中心化させつつ、ばらつきを減少させる |
具体的に、工程を中心化させる、ばらつきを減少させる方法は皆さま自身で考えていただく必要があります。例えば、機械パラメータの調整、作業者への教育など…様々考えられると思います。必要な対策として、工程の中心化か、ばらつきの低減か、もしくは両方かの目安として参考にしていただければと思います。
[ Translated by R.Annoki ]
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