2016年12月のコラムからシックスシグマ活動におけるDMAICの各フェーズについて詳しく紹介しています。
今回の内容は、Improve(改善)フェーズです。
このフェーズでは、今までのフェーズを基に具体的な改善策を決定、効果の検証を行います。
■Analyze(分析)フェーズのおさらい
前回のコラムでは以下のような項目を学びました。
Analyze(分析)フェーズの目的は?
パレート図とは?
データ間の関係性をみる図は?
Minitab News Letter 2017/2 - 統計解析ソフト Minitab
では、これからImprove(改善)フェーズを説明します。
■Improve(改善)フェーズの目的と流れ
本フェーズの目的は冒頭の通り、Analyze(分析)フェーズで特定した根本原因の改善策を選定、評価することです。
まず、改善策の選定の前段階で、アイデアを集めるステップがあります。その際、多様な視点からの意見が大切になるため、BBやGBのみならず、現場の作業者などの協力を仰ぐ必要もあります。ここで集めたアイデアから、目標の達成具合、コストなど主要な選択基準を考慮しつつも実行可能な改善策を選定し、実際に効果があるかの検証を行います。
以上がImprove(改善)の流れになります。Improve(改善)フェーズには、大きく3つのステップがあり、そこで使用されるツールとともに整理した表が下記となります。
Imprpve(改善)のステップとそれに対するツール
ステップ | ツール |
---|---|
①改善策のアイデア集め | ブレーンストーミング、ベンチマーキング、アンチ・ソリューション法、ECRSなど |
②改善策の選定 | 意思決定マトリクス、実験計画法など |
③改善策の評価 | パイロット、FMEAなど |
それでは、各ステップと重要なツールを見ていきましょう。
①改善策のアイデア集め:たくさんの改善策を考えましょう
今まで、Defineフェーズ、Masureフェーズ、Analyseフェーズと進めてきましたが、結局行う改善策が前と同じであれば、最終的な成果は期待できないものとなってしまいます。それを避けるためにこの改善策のアイデア集めでは、今までの枠にとらわれない広い発想をして改善策を見つける必要があります。この段階では、いかに多くのアイデアを出すかが重要です。実現可能性や、効果の大小を気にする必要はありません。
ブレーンストーミング
アイデアを集めるときによく使われるツールのひとつに、ブレーンストーミングがあります。
1つのテーマに対して参加者が自由に意見やアイデアを述べていくことですが、研修や打合せなどで多くの人が行ったことがあるかと思います。実施時の注意点を一部まとめましたので、ご参考ください。
・GBやBBだけではなく、外部・現場の人も交えて意見をだしてもらう
・事前に情報やグラフなどは共有する
・ポストイットや模造紙などの道具を用意して、話しやすい環境を作る
・質より量を重視
・アイデアはすべて書き留める
・アイデアの批判をしない
・反対のアイデアも大切にして、違った角度から見るようにもする(先入観を捨てる視点をもつ)
概念にとらわれずたくさんのアイデアを出すことが目的なので、みんなが発言しやすい環境をファシリテーターが作り上げる必要がありますね。
議論に詰まったら、アイデア同士を結合してみましょう。そうすることで新しい発想が出てくることがあります。
②改善策の選定:アイデアをまとめましょう。
ブレーンストーミングでアイデア出しした後は、その中から実行可能な改善策を決めていきます。まずは、アイデアを目的や構成などの関連性があるものに分類していきます。それを実用に向けた改善策に表現を変えます。その中から選定していく時に使われるツールのひとつに実験計画法というのがあります。これはMinitabの機能にもあるツールです。
実験計画法
複数ある項目から重要な要因(統計的に有意な影響を与える要因)を効率的に選別するツールです。
特徴としては、複数存在する要因の影響を同時にみることができる、要因間の相互関係を把握できるということでしょう。このツールを使うことで数ある改善策から、結果に影響のあるものを統計的な見地に基づき見つけ出すことができます。
実験計画法の基本については過去のニュースレター、Minitabサポートページにて解説してありますので、ご参考ください。
実験の計画_Minitabサポートページ
Minitab 17 新機能紹介 - 実験の計画と解析をもっと簡単に
③改善策の評価:改善策の試験実施をしましょう。
改善策が決まり本番!としたいところですが、問題発生のリスクを下げるために改善策の評価をする必要があります。パイロット
評価のツールとして、改善策を試験的に実施して調査するパイロット・テストがあります。改善策を実施して、問題が解決されるか?どれくらいの効果があるか?を確認する必要があります。その結果を基に、さらに改善策をより効果のあるものにしていきます。
■まとめ
Improve(改善)フェーズをみてきましたが、アイデアの収集は発想を自由に、選定では実現を考えて、と緩急があるフェーズでした。アイデア選定や評価でどんなに時間をかけても、もともとの選択肢が少ないと良い結果は望めません。いかに多くの視点からの意見や発想を集めるかが重要になります。
さて、次はいよいよDMAIC最後のフェーズ Control(定着)です。改善結果の定着を実践していきます。
[ by Y.Itoh ]
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